合板用接着剤

合板用接着剤



熱硬化性樹脂系、ホルムアルデヒド系とは、ユリア、メラミン、フェノール、レゾルシノールなどの合板用接着剤のこと。

接着剤が工業的に使用されるようになったのは、合板産業が初めてで、もっとも歴史が長く、戦後の復旧において最も重要な産業のひとつに位置づけられていた。合板は輸出中心であったが、現在は国際競争力を失い、国内内需に依存する形となっている。すでに研究開発が終結した分野で、生産拠点の海外移転や現地生産化され、日本は技術的な支援をする立場で海外生産拠点と関わっている。

熱帯雨林で育つ豊富な広葉樹を原木輸入して成り立っていたが、近年、原木輸入が難しくなり、北洋材、北欧材などの針葉樹に代わってきている。

※熱硬化性樹脂系・・・熱を加えると不溶不融となるもの

 

 

ユリア

航空機用合板製造用として、各社が生産を始めた。戦後は合板の生産量も増加し、フェノールを使うか、ユリアを使うか激しく紛糾した結果、ユリアが採用された。ユリアはフェノールと類似している面も多くあるが、大きく異なる点は水溶性の接着剤が容易に得られることである。もう一つは、フェノールは硬化剤を加えても高温で加熱しなければ硬化しないのに対して、ユリアは硬化剤の種類によっては常温でも硬化し、加熱硬化の場合でも低温短時間で十分である。このように高温加熱が必要でなく、その分接着コストを低下できる。日本では、合板工業に広く用いられ、環境問題が昨今のように厳しくない時代まで、接着剤中の生産量の最大を占めていた。現在でも木材に対する接着力が優れているので、家具、合板などの接着に用いられている。

 

・価格が非常に安い

・高い接着性と耐水性がある

・合板の主材料の南洋材に適している

・環境問題で、使用できなくなりつつある

・塩化アンモン、塩化アンモニウム、硝酸アンモン、硫酸アンモンなど強酸のアンモニウム塩を硬化剤として使用する

・接着層が硬い

・酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを添加することで、たわみ性を付与できる

・他の熱硬化性樹脂と比べると耐久性に劣る

・耐久性を高めるためには、防水処理が必要である

・メラミン樹脂系を添加すると耐水性や耐久性が向上する

・ホルムアルデヒド系では、以前は圧倒的な生産量であった

・劣化防止目的で小麦粉や水を加える

・常温硬化型(濃縮型)は、主に木工用途

 加熱硬化型(未濃縮型)は主に合板用途

・粉末接着剤としても使用できる

 粘度調整が可能で、保存性や安全性に優れているが、吸湿性があり、高価

・貯蔵性、保存性が悪い

・冷圧では限度があり、熱圧が効果的である

 簡易加熱法として、電極版、電熱板を用いた低周波加熱方式もある

・初期接着力の立ち上がりが遅いため、圧着が必要

 

◇未濃縮タイプ(合板用)

不揮発分50%程度。加熱接着用で、合板、パーティクルボード、MDFなどの製造に用いられる

◇濃縮タイプ(木工用)

不揮発分60%程度の加熱接着用樹脂、不揮発分70%程度の常温接着用樹脂がある。前者はパーティクルボード、MDF、化粧単板に用いられ、後者は造作用集成材や家具、木工、つき板に用いられる。