◇構造用接着剤
従来の構造用接着剤は、車体剛性や車体強度を向上させるため、車体骨格部材などにスポット溶接と併用し、使用されるものであったが、
現在の構造用接着剤とは、車体を鋼、アルミやCFRPなどの異種材料を用いて、接着させ組み立てることで、軽量化や剛性向上させるものである。昨今、電動化に伴い、マルチマテリアル化が進んでいる。
よく使用されるのは、エポキシ樹脂系とウレタン樹脂系である。エポキシ系は高強度であるが、伸びにくく、一方、ウレタン系は、強度は低いが、よく伸びる。今まで、強度と伸びの両立ができるものがなく、目的に応じて使い分けを行っていた。
2017年から経済産業省のプロジェクトが始まり、新エネルギー、産業技術総合開発機構(NEDO)自動車の構造用接着剤の新たな開発に乗り出した。そのテーマは「高強度でよく伸びる接着剤」である。一般的に接着剤は強度が大きければ、大きいほど、伸びは小さくなる傾向にある。
「伸び」・・・異種部材間の膨張係数の差や耐衝撃を吸収
「ウレタン樹脂系」・・・BMWをはじめとするヨーロッパ系が採用している。自由設計度が高く、ウレタン系ならではの高い伸び率200%以上が期待される。また、30℃~180℃の幅広い環境下で、物性維持する。
◇マスチック接着
合成ゴムを主成分とした弾性接着剤でアウターパネルとインターパネルの接着。パネル表面の歪に対応する。
◇ヘミング接着
1液の加熱硬化型エポキシ樹脂が主。アウターパネルとインパネルの接合と防錆性を確保。
◇ウェルドボンド工法
鋼板に接着剤を塗った上から、溶接を行うことで、剛性や防錆を高め、振動を抑える。溶接点数を減らし、強度が向上し、錆びを防ぐ。
◇ボディーシーリング材
塗装が施されるまでの鋼板合わせ部の水密や防錆を目的に使用
◇ダイレクトグレージング
車体とウインドガラスを直接接着する工法で主に湿気硬化型の1液ウレタン系接着剤が使用される。
◇真空接着
ドアトリムやインストメンタルパネルの表皮材はウレタン系、エラストマー系接着剤を使用
◇シール剤
常に振動や衝撃にさらされるエンジンやトランスミッションなどの接合面に塗布されることで、内部に封入されたオイルや冷却水等が外部に漏れだすのを防止したり、口開きに対して追従する。次世代の自動車では、特に電気系統周辺の接着、シール性能が要求される。
◇Aピラー(ポリオレフィン系)
SGA系、反応型ホットメルト系、オレフィン系ホットメルトなどを使用
◇ステアリング(木材、樹脂、金属×皮革)
反応型ホットメルト系、ラテックス(CR)系、アクリル系両面テープなどを使用
◇ドアトリム(ポリオレフィン、ウレタンフォーム、表皮)
オレフィン系ホットメルト(スプレー塗布)、水性アクリルエマルジョン(粘着型)、
アクリル系両面テープなどを使用
◇ヘッドライナー(ファブリック、フォーム材)
アクリルエマルジョン、オレフィン系ホットメルト、反応型ホットメルト系、アクリル系両面テープなどを使用
◇ワイヤーハーネス
ポリアミド系ホットメルト
◇トリム
オレフィン系ホットメルト(スプレー塗布)、アクリルエマルジョン、アクリル系両面テープなどを使用